Jonathan Bird

タイ社会とタイ語を研究してます。ドリアンが好きです。マハーサラカーム県を拠点としてます。ข่าวไทย แปลภาษาไทยเป็นภาษาญี่ปุ่น ชอบกินทุเรียน / 使用言語: タイ語・インドネシア語・英語

(日本地理)全国通訳案内士試験「日本地理」 勉強法

どうもジョナサンです。

通訳案内士試験は、選択した「外国語」の試験と「日本地理」「日本歴史」「一般常識」の計4科目で行われます。この4科目を一つでも落とすと1次試験は突破できないので、ちゃんと対策しておく必要があります。

私は2017年の全国通訳案内士試験の「日本地理」を実際に受験して合格しました。(現在2次試験に備えて勉強中)その経験談も含めて、今回は「日本地理」の勉強法について考えていきたいと思います。

■ 通訳案内士試験の「日本地理」は独特の問題が出題される

全国通訳案内士試験の「日本地理」の科目はなかなか一筋縄でいかないところがあります。普通、地理の試験というと地形や統計データのようなものが予想されますが、通訳案内士試験の場合は異なります。通訳案内士試験の「日本地理」は観光に関するもので、外国人が興味があるとされる事についての問題が出題されます。一応、JNTOのホームページに公示されている通訳案内士試験のガイドラインを確認しておきましょう。

 
平成29年の通訳案内士試験「日本地理」科目のガイドライン

外国人観光旅客が多く訪れている又は外国人観光旅客の評価が高い観光資源に関連する日本地理についての主要な事柄


このガイドラインを読んで見ると「外国人」というキーワードが目立ちます。日本人観光客が興味のある観光資源というよりは、「外国人観光客が興味ありそうな場所」もしくは「これから日本政府が外国人を積極的に呼び込みたい場所」というニュアンスが多く入っている印象を受けます。つまり外国人目線の観光地に関する問題が「日本地理」に出題されるということになります。

 

このガイドラインに書いてある「主要な事柄」とは一体何なのでしょうか。実際には色々なタイプの外国人がいて、それぞれ趣味・嗜好が違うのでどこが主要なのかは限定できません。ただ政府の公式見解として観光庁が毎年まとめている「観光白書」というものがあるので、この白書に書かれているものをまずおさえることが基本になります。実際の通訳案内士試験でも、この「観光白書」の内容がベースになった問題が多く出題されています。

 

■ 5年以上前の過去問は役に立たなくなってきている 

通訳案内士試験がはじまった頃の「日本地理」は、地図記号の問題や単純に地名を聞くなどのオーソドックスな地理の問題で構成されてましたが、ここ4〜5年でだいぶ試験の内容が変わってきました。なので、昔の「日本地理」の過去問をベースにした参考書で勉強しても、現状の試験の内容とだいぶ異なっているので、ずれた勉強をしていることになります。勉強方法がずれていれば、合格するのは難しいです。

 

市販の通訳案内士試験対策の本の中には、まだまだ古い形式の「日本地理」に特化しているものが多いので注意が必要です。今後、試験内容が変化する可能性があるので確実な事は言えませんが、公式ページのガイドラインを読む限り、試験の問題傾向が昔の形式に戻るとは考えづらいです。なので、5年以上前の「日本地理」の過去問は無視していいと思われます。現実的には直近3年間の過去問を検討するだけで十分だと思います。

 

■ 「日本地理」に合格するために必要な知識(3項目)

「日本地理」の試験を合格するために必要な知識をまとめてみました。

 

  1. 日本の基本的な地形や地名の知識(山・川・平野・都市の名前など)
  2. 観光庁が出版する「観光白書」・その他、政府が公表した観光に関する書類の内容
  3. 都道府県ごとの観光名所・祭りなどのイベント・特産物の情報

 

大まかにこの3項目が柱となっています。

 

特に重要なのが2番目の「観光白書」と政府の公式情報の内容です。通訳案内士試験は観光庁の所管の日本政府観光局(JNTO)が行っているので、試験問題も「観光白書」と政府刊行物の内容を軸に作られているようです。

 

それではこの3項目を中心として、「日本地理」攻略の学習法を考えていきます。
 

■ 1、日本の基本的な地形や地名の知識の学習法 - 中学受験のテキストを利用する

通訳案内士試験の「日本地理」は日本全国から均等に出題されるので、日本全国まんべなく学習する必要があります。(どこかの地方に特化した「ヤマかけ」的な学習法はやらないほうがいいです)

 

大学入試の科目になっている「地理」とは違い「日本地理」の範囲は日本国内だけであり、かつ観光に関わりの深いところばかりが出題されるので、外国の地理の記述が多い大学入試の参考書はほとんど役に立ちません。

 

そこで私がおすすめするのは、小学生が中学入試で使用する「社会」の参考書『最高水準ノート小学社会 地理編 三訂版 (中学入試 合格を約束する) / 文英堂』です。 

最高水準ノート小学社会 地理編 三訂版 (中学入試 合格を約束する)

最高水準ノート小学社会 地理編 三訂版 (中学入試 合格を約束する)

 

 この本は「最高水準」と言っているだけあってかなり細かいです。中学入試で上位学校を狙う小学生はここまでやるのかと驚いてしまいます。ただこの本を全部やる必要はなく、山・川・平野・山脈などの地形の問題を繰り返し何度も解き、実際の試験でその地名が出たとき、頭の中にその場所がイメージできるレベルに持っていければいいと思います。「日本地理」の試験では、川や山の名前からマニアックな地名を連想させる問題が出ることがあるので、基礎的な地名の学習は必須です。

 

この問題集は空欄穴埋め形式なので、自分の欠如している知識がすぐに分かり、効率的な学習ができます。また、国立公園や世界遺産の項目などもあり、「日本地理」の内容に直結するものになっています。余力があれば、この問題集を元にして「温泉」「祭り」「伝統工芸」などテーマごとに自分でまとめるといいと思います。やはり地図は自分で作ったほうが記憶に定着しやすいです。

 

『最高水準ノート小学社会』はあくまで問題集なので、実践的な地図帳も基本書として必ず一つ購入する必要があります。私がおすすめするのは、毎年改訂される「今がわかる時代がわかる日本地図 / 成美堂出版」です。

今がわかる時代がわかる日本地図 2017年版 巻頭特集:2020年からのニッポン 活断層と地震 (SEIBIDO MOOK)

今がわかる時代がわかる日本地図 2017年版 巻頭特集:2020年からのニッポン 活断層と地震 (SEIBIDO MOOK)

 

地図帳は各社から色々出ているので、どれを買うのか迷ってしまいますが、「日本地理」対策でしたらこの位で十分だと思います。毎年改訂されるので、統計データなどが常に最新なのがうれしいです。図書館などにあるような古い地図帳を使うと、合併前の都市名であったり、存在しない町の名前が出てたりして混乱します。知らない間に合併されている町や村は結構多いです。地図帳はかならず最新版のものに買い替えましょう。実際に試験会場でも、この本を持っている人が結構いましたね。

 

■ 2、観光庁が出版する「観光白書」・その他、政府が公表した観光に関する書類の内容の利用法 - 観光白書・観光庁のホームページを利用する

「観光白書」は政府の観光に対する方針と結果報告なので、「日本地理」合格のためには必須のバイブルとなります。つまり「安倍ちゃん」が日本の観光産業に対してどのように考えているのかを調べるのがまず重要ということになります。(ちなみに「一般常識」の試験対策にも「観光白書」はかなり重要です)

 

私は3年分の「観光白書」を印刷して、暇があれば一読するようにしていました。「観光白書」を読んでみるとわかりますが、「広域観光周遊ルートの図」などはそのまま試験に出題されていたりします。2017年の問題の中にも、沖縄に関する問題など、かなり「観光白書」を元にした内容が出ていました。「観光白書」は以下のページからダウンロードできます。PDF形式でダウンロードできるので、iPadなどのタブレットに入れておくといつでも参照できるので便利です。

「観光白書」の内容は「日本地理」には直接関係ないものもありますので、全部を完全に理解する必要はありませんが、この白書の中で出てくる地名はすべて覚えておいたほうがいいでしょう。政府が特に力をいれている観光ルートや観光地は「日本地理」で出題される可能性が高いです。

 

おすすめの学習法は、「観光白書」で出てきた広域観光周遊ルートをグーグルマップでたどり、何度も旅してみることです。そして、そのルートの途中にある名所や特産物をグーグルで調べていくと、より立体的にその地方の特色が理解できます。グーグルマップで日本の観光地のほとんどの場所に行けますので、実際に行ったことがない場所でも旅行してきた感じがします。(ただグーグルドライビングにハマりすぎると、すごい時間がかかりますので注意)ちなみに私は山陰地方や北海道をグーグルマップで3周以上しています。

 

他に、政府関連の情報で押さえておいたほうがいいのは、観光庁のホームページに出ている「報道発表」です。観光関連記事や訪日外国人観光客などのキーワードが出ていたら随時チェックしておき、その記事で言及されている場所を地図帳で調べる作業は試験対策に必ず役に立ちます。「観光白書」の指針がどのように現実化されていくのかという視点で記事を読んでいくのも面白いです。とにかく観光地名が出てきたら要チェックと考えていいでしょう。

 

■ 3、各都道府県ごとの観光名所・祭りなどのイベント・特産物の情報の学習法 - JTBパブリッシングの「るるぶ」を使用する

1と2で大まかな日本の地形と「観光白書」の内容をつかんだら、いよいよ個別の観光地の情報を学習していきます。とはいえ日本には膨大な数の観光地や特産品があるので、どこから手を付けていいのか途方にくれてしまいます。日本のはじからはじまで記憶するには、時間がいくらあっても足りません。「日本地理」の合格にはそこまでやる必要ありません。

 

私がおすすめする書籍は、JTBパブリッシングの「るるぶ」シリーズです。なぜ「るるぶ」シリーズをすすめるのかというと、ここは私の勘なのですが「るるぶ」の内容がよく試験に出題される感じがするからです。(通訳案内士試験の運営が「JTBコミュニケーションデザイン」というJTB系列の会社で行われているのと関係があるのかも)あとは値段がお手頃なのと、写真が多いので見ていて面白いからです。

 

るるぶ九州ベスト'18 (国内シリーズ)

るるぶ九州ベスト'18 (国内シリーズ)

 

 「るるぶ」シリーズを全部購入するのがベストですが、結構の量になるので出費がかさんでしまいます。ただ、最低「北海道」「東北」「九州」「四国」あたりは揃えておきたいですね。観光地の情報はちょっと古い本でもそんなに変わらないので、図書館で借りて必要なところだけをノートに書き写すという作戦もあります。その場合はなるべく5年以内の本を探しましょう。古い本だと世界遺産に新しく登録された場所が載ってなかったりします。

 

学習法ですが、いきなり個別の県ごとに調べるのではなく、最初は北海道・東北・九州・四国・中国など地方ごとに大まかにおさえていき、その後、県ごとに知識を深めて行く方法がいいと思います。「るるぶ」の中で大文字で書かれている写真付きの観光地は良く出題されますので確実に覚えましょう。また有名な観光地ほど細かい知識を問う問題を作ってくるので、ベタな観光地も復習のつもりで知識を深めましょう。(2017年は「札幌時計台」がでました)

  

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